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《2005.5月−1》

不満が腹に、溜まってくる
【GOKKO 〜この指とまれ・3〜 (ぎんてつ)】

作・演出:前原寿代
1日(日) 14:05〜15:35 博多南駅ビル 多目的オープンスペース 1200円


 この公演は、那珂川町の博多南駅ビル 多目的オープンスペースのオープニングイベントのひとつ。かなり中途半端な、不満の多い公演だった。

 5つの作品のオムニバスに、観客参加のジェスチャーしりとりゲームが加わる。

動物GOKKO「にわとり」
 バタリー養鶏のゲージの中の2羽のニワトリ。チャボの自由さやシャモの子育てにあこがれるが、犬にやられるシャモを見て、ゲージの中がいいと思い直す2羽。
 寓話だが常識的でツッコミが弱く、あぁそう―という感じでインパクトなし。卵を産む成鶏のこともブロイラーというんだっけ?上演時間10分。

童謡GOKKO「メリーさんの羊」@
 メリーさんをいじめる友だちを押しのけ、メリーさんをお姫様ダッコする羊。上演時間1分。

ジェスチャーしりとりゲーム
 観客参加のゲーム。10の解答欄のある回答用紙が配られ、10人の俳優がジェスチャーで示すしりとりのことばを当てる。
 観客もそれなりについていってはいるが、どっちかというと劇団員のほうが盛り上がっている。私ははじめの3つがわからなかった。全問正解者28名というのはすごい。15分強。

やさいGOKKO「八百屋」
 八百屋で野菜たちが客に買われるという話。配役をくじ引きで決めるのがミソ。
 発想もセリフも凡庸で、配役をくじ引きで決める(従って全員がずべてのセリフを憶えておく)という趣向も、顕われたものはごく当然と見えてしまい、作る側がおもしろがっているほどにはおもしろくない。上演時間10分。

童謡GOKKO「メリーさんの羊」A
 不良に連れて行かれそうになったメリーさんを助ける羊と5匹の仲間の羊。メリーさんを助けて、お姫様ダッコする羊。上演時間3分。

静物GOKKO「将棋の駒」
 実戦中なのに本将棋をいやがる王将、醒めた盤上解説ばかりの金将と銀将。
 発想はいいのだが、常識的でツッコミ不足で単調で、これもインパクトが弱い。上演時間10分。

 ここで、ジェスチャーしりとりゲームの答えあわせと景品の抽選。10分弱。

歌劇団GOKKO「羽犬塚グランドロマン モリノクマサン」
 ひとりで森に行った領主のお嬢さん。そこで会ったモリノクマサンは、実は改革派・ゲキダンの首領。お嬢さんは彼に恋して・・・。
 宝塚調の演技と童謡とのギャップがこの舞台のおもしろさだが、3回目ということもあったかもしれないが、おもしろさを感じない。湿っぽい演技で、演技に勢いがない。上演時間25分。

童謡GOKKO「メリーさんの羊」B
 メリーさんのふとんで横になっている羊。メリーさんが来ると、羊はいやがるメリーさんをお姫様ダッコしてふとんへ。これはちょっとおもしろい。上演時間2分。

 全体的には、脚本の弱さが致命的。ほとんど乗れずイライラしどうしで、不満が腹に溜まってくるという公演だった。
 この公演はきのうときょうで3ステージ。満席だった。


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