福岡演劇の今トップへ 月インデックスへ 前ページへ 次ページへ


《2005.6月−11》

構想を満たす、緻密さを
【役者の道2 マクベス編 (LooseMan)】

作・演出:波瀾万丈
18日(土) 18:40〜21:10 ゆめアール大橋 招待


  *** 推 敲 中 ***  

 「役者の道2 マクベス編」は、ものすごく典型的なバックステージもので、しかも舞台とバックステージが同時進行という設定だから、それがうまくシンクロしてこそおもしろみが出てくるのだろうが、それを無視したために緊張感を弱くしてしまったのが惜しい。
 同時上演の、WAHAHA商会のコラーゲンはいごうまんのトークがおもしろかった。

 「役者の道2 マクベス編」は、劇団が「マクベス」をもって刑務所に慰問に行く。ところが、脱獄を企てた受刑者が楽屋に乗り込み、劇団員は脅迫されて脱獄への協力をさせられそうになる・・・。

 正面と左右に大きなスクリーンが3面。マクベスの上演シーンは、そのスクリーンに役者の姿が影絵で映し出される。
 バックステージがリアルな舞台として描かれるという工夫はいい。前半は、マクベスの上演と楽屋の動きがシンクロしていて楽しめる。
 しかし後半に入り、脱獄のために1時間半のところを30分でやれと脅迫されてから、表舞台を表す影絵がパタリとなくなる。主役が楽屋で気絶していたりするのに、表舞台の様子がいっこうにわからずイライラする。
 楽屋では脱獄者との丁々発止のやりとりが続いている。そして脱獄はあきらめさせたが、脱獄しようとしたことを刑務所側に悟られないためにかれらを観客参加として舞台に上げる。それが、ラスト近くの森が攻めてくるシーンで、ここでやっと表舞台の影絵が復活するが、表舞台がわからない間は緊張感がなくなってしまった。

 コラーゲンはいごうまんの実録ドキュメンタリーのテーマは「ヤクザ」。
 拍手の練習などの前説が長すぎる。
 「刺青」の取材でお世話になった彫り師が組の会長代行で、その人の世話で組に。
 迫力もあるが巧まない愛嬌もあるおやっさん(会長)や、かなり間の抜けた兄貴の活写がおもしろい。会長代行は、「ヤクザ=信念」だとして、芸人としていまひとつのコラーゲンはいごうまんに向かって「芸人としての信念がぶれ始めているのでは?」と追求するが、最後は「おまえひとりの夢じゃないんだぞ!」と号泣させる。
 熱の入ったトークでおもしろいが、すっきりした姿かたちでコラーゲンはいごうまんは芸人として損をしているのではないだろうか。

 この舞台は、ゆめアール大橋の大練習に、舞台と約120席の客席を作っての公演できょう2ステージ。少し空席があった。


福岡演劇の今トップへ 月インデックスへ 前ページへ 次ページへ