状況設定をきちんとしていながら、やついいちろうのボケでそれをドンドンつぶしていく。
エスカレートし、かわし、落とし、脱線する。それをおもしろく見せるやついいちろうを、今立進の醒めた目で引き立たせる。ネタが十分に練り上げられている。
10分前後のコントが6つ。そのあいだを、5分くらいの映像でつなぐ。
オープニングは、ヤツエモンの会場到着までの映像と今立の掛け合い。映像には、かぶりものをつけたギンギラ太陽‘sの役者も登場する。
「海辺で」
海の家のバイトの今立を相手に、ナンパのきっかけになんとか女性に触れたいやついが、知恵をしぼり、特訓を繰り返す。あせったやついの、ドタバタがおかしい。
「ユーモア教室」
恋人の両親にあいさつにいく今立が、やわらかく話すべく、1時間で楽しい男!というユーモア教室のやついの特訓を受ける。こじつけのユーモアの法則もおもしろいが、それを、くそまじめの今立が、やけくそでやるところが笑わせる。
「町の弁護士」
6歳の娘の親権を取り戻したいと、弁護士今立に相談に来た、45歳のパラサイトやつい。やついがみせるちゃらんぽらんぶりが、見もの。
「万引き」
忍者すがたの万引き男やついと、店長今立のやりとり。なんとか言い逃れようとするやついが、忍者ことばになったり、素にもどったり。この「万引き」は、きょう深夜のフジテレビの生放送番組「登竜門F」でもやっていた。映像で見ても笑えた。
「ネセサリー」
ラジオ番組あてに応募してきた、素人のお笑いテープを聞いているADふたり。つまらないコントパターンを見せたあと、「ネセサリー」ということばの羅列というコントの、そのくどさで見せる。
「アンパンマンショー」
アンパンマン役のやついと、急遽代役の音響係の今立。出の音楽をことごとくまちがえる。そのまちがえた音楽に乗ってやってしまうというところが、勢いがあって楽しい。
映像も工夫がこらされている。
「今立のオーラ消し実験」は今立の概観のあたりまえさがわかり、「エレキコミック検定模様」は、正答率27.3%というその答えがぶっ飛んでいておもしろいが、大相撲の映像をつかった「バカRECO」はいまひとつ。
このステージは、エレキコミック第13回発表会で、全国7ヶ所での公演。福岡ではきょう2ステージ。観客は、若い女性が中心。少し空席があった。
(コントなどの題名は、薙野が勝手につけたもので、正式のものではありません。)