「風が吹けば桶屋が儲かる」式の、ほとんどこじつけの展開には、とてもなじめない。
銀行強盗の話なのに、なんというのんびりとした展開なんだろう。情緒的なところに落とし込んで、つじつま合わせでなんとか見せようと意図がありありで、甘えすぎだ。
いなかの銀行で銀行強盗が発生。乗り込んだ警察署長が見たのは、縛られた犯人。なのになぜ行員は、犯人を引っ立てて出て行こうとしないのか。
警察署長の妹がこの銀行のベテラン行員で、柔道技で犯人を投げ飛ばした。その彼女、取引先の御曹司との縁談をひかえていて、柔道5段であることを知られて破談になることを避けるために、犯人逮捕の功労者の身代わりを立てようとする。
支店長、若手の男性行員、男性客、女性客という登場する人物が、実はいろいろ関係があるということがだんだんわかってくる。
功労者選びは、候補が出ては消えていく。だれを身代わりに立てようとしても誰も都合が悪い。それが延々と繰り返されて犯人を引っ立てる時間を延ばしていくという展開だが、無理やりで説得力に欠ける。
結局「ナンシー」の心臓手術の費用捻出のための銀行強盗だったのだが、犯人は「金を出せとは言ってない」と言いだして、オイオイ!というような展開。
それなのに、一同は納得して、「ナンシー」の死蔵移植の募金のPRに協力するために、全員が「ナンシー」の大きな顔写真がついたTシャツを着て出てくる。それはないだろ。
盛り上がってほろりとしさえすればいいのか!と毒づきたくなってきたが、そんな舞台がスタンディングオベーションだった。
この舞台は久留米では1ステージ。ほぼ満席だった。