ライブ演奏とダンスを見せるために、映画「ブルース・ブラザーズ」のストーリーで繋いだという作品。企画のアイディアは悪くないし、ライブ演奏とダンスは楽しめる。
しかし、それらを繋ぐ演劇のところが弱いのと、ライブ演奏とダンスに発表会レベルのものが混じっていて、お祭り騒ぎだけの大味な舞台になってしまった。
孤児院を併設している教会が、固定資産税70万円を払えずに競売に。
それを買い取って和太鼓のライブハウスにしようとする女社長と不動産屋。刑務所から出所したばかりの男とその弟が、競売を阻止すべく立ち上がる。
バンド演奏、和太鼓の演奏、ヒップホップなどのダンス。やってるほうも観るほうも(特に、やってるほうが)心地よくなればいいという公演。
音楽やダンスはにぎやかに盛り上がって、内容的にもバンドと和太鼓のバトルなど、見るべきものもあって楽しめた。しかしそれが全体のおもしろさとは繋がらない。
それは、演劇としてのレベルの低さが原因。どうでもいいはずがない演劇に対して甘ったれた取り組みしかしておらず、作品としての一体感に乏しくて、演劇としての魅力は希薄だ。
ストーリーはおおむね、「ブルース・ブラザーズ」からの借り物。しかし、適当に改悪していておもしろくない。
主人公の兄弟ふたりは、「ブルース・ブラザーズ」そのままの物まね。しかし、なんとも魅力がない。
対立する女社長と不動産屋の話は、和太鼓のライブハウス建設などといい加減でまったくつまらないし、ロミオとジュリエット的な話もつまらなくて腰砕けしてしまう。
映画「ブルース・ブラザーズ」のセリフを丸写しするような、してはならないことを、堂々としている。機関銃まで出てくるとは、どこの国の話?
ほんとに、映画「ブルース・ブラザーズ」を権利侵害しても平気なそんな姿勢で、まともな脚本が書けるわけがない。
きちんとしたドラマを骨格として、そこに音楽とダンスを位置づけていけば、もっと見られる舞台になったのに、これじゃとてもとても。
メインとなる俳優たちのムダな動きはどうだ。動いていないと演技していないと勘違いしていて、常時動きまわっている。だから、大事な動きが際立たずにぼやける。
演劇のときに観客の反応が非常に薄いのはこのためだが、演ってるほうは気がついてもいないようだ。
この舞台は、18日から20日まで3ステージ。ほぼ満席だった。