福岡の、アフリカン・ミュージックやアフリカン・ダンスをやっている人たちで作った劇団の公演。
ギニアからのゲスト「タンガ ムサ カマラ」を真ん中に据えて音楽をブラッシュアップ。その音楽で発表会レベルのダンスを引っ張って、全体としてはまぁ、ボリュームがあって楽しめる公演にはなっていた。
西アフリカの平和な村で、刺激がほしくていろいろやらかすワルガッキーズ。それをなだめて丸めて、一団にして村に取り込んでしまい、みんなで楽しく音楽とダンス。
全体を通すストーリーは、脚本が雑すぎるのと、セリフが通らず演技もダメで、何だかゴチャゴチャやっているという感じしかなくて、よくわからない。
脚本がうまく書かれていて、ストーリーがうまく伝えられて、それに音楽とダンスがからめば、舞台はずっとよくなる。
この公演を見るべきものにしているのが、ギニアからのゲスト・「タンガ ムサ カマラ」。30歳くらいの、はちきれんばかりの肢体のこの男性、圧倒的な迫力だ。
歌も、10個近く並べたドラムも力強くて、アフリカはこうなんだろうなという雰囲気を作り上げていく。みごとなリズム感で全体を引っ張りるかと思えば、哀調を帯びた歌を大音声で聴かせる。
この人に引っ張られてか元々実力があるのか、音楽は快調で、安定していて安心して聴けて楽しめる。
ダンスがつまらないのは、しかたがないのかもしれない。
アフリカ人と日本人とでは、身体構造も身体能力も違うんだし、それをテクニックでカバーしようとしてもなかなかそうもいかないだろうから、いかにも日本人のダンスになってもやむをえないのかもしれない。
それにしてもダンサーが軟弱に見えた。アフリカ人の身体性まで身につけなくとも、ダンサーとしての基本的な身体能力と、基本的な存在感はほしい。
舞台中央に大きな木。その前の楽器が並ぶ。
演奏者は舞台にほぼ出ずっぱりで、舞台には常時多くの出演者(村人たち)が並ぶ。嘉穂劇場の広い舞台を、それなりに使いこなしていた。
この舞台は嘉穂劇場では、きょう昼と夜の2ステージ。夜の回を観た。少し空席があった。