野村誠の左手の法則3は、「野村誠の左手の法則」の指導者による発表公演。ややラフな分、気軽に楽しめるのがいい。
発表は、6月に福岡市博物館等で行われた音楽、ダンス、演劇、アートマネジメントのワークショップの映像を編集して音楽をつけたもののほか、オリジナルのパフォーマンスもある。
第一部は、「門限ズ」(メンバーは、野村誠、倉品淳子、遠田誠、吉野さつきの4人)のパフォーマンス。約35分。
「Anablepsis」は、4人による音楽とダンスで、この集団のテーマソングともいうべきもの。4人が門(というか押入れ)から出てきて、リコーダーなどの軽い管楽器を演奏して、また門のなかに帰る。以後も大体このパターン。パフォーマンスはかなりひねりが効いていて楽しめる。
「進化する福岡トリエンナーレ」は、ブラスバンドの曲を4人でやるのに、観客参加でバリエーションをつけようというもの。バカな知り合いがよけいなこと言うもんだから、引っぱり出されて踊らされた。
「左手の法則」は、絵文字のようなシナリオを映写して音楽をつける。
「Duo2」は、吉野さつきへのインタビューを、ほかの3人が吉野さつきの足裏などをいじりながらやる、というもの。
「10秒リレー」は、カウント/ダンス/ピアノ/トークを、4人が10秒ごとに替わって回していくゲーム。カウント以外はすべて即興。10秒での交替でテンポいい。
第二部は、「福岡市博物館・REMIX」で、福岡市博物館でのワークショップの記録映像に野村誠がピアノ曲をつけるというもの。約25分。
ワークショップの記録映像は、「Music」「Arts Management」「Dance」「Drama」「Workshop」の5つ。リズミカルになるように映像の短い繰り返しが頻繁に使われる。何ともないような映像が繰り返されて曲をつけられることで、作品になっている。
第三部は、「老人ホーム・REMIX」。約40分。
野村誠が11年も通い続けている横浜の特別養護老人ホームの人たちの音楽などへの取り組みの映像に、野村誠が曲をつけて演奏する。
老人たちは、グループでドラムを叩いたり、大正琴を演奏したり。ワークショップの様子などもうまく編集して再構成していておもしろく、ワークショップの効果をアピールしている。
観客は100人くらいでほぼ満席。ワークショップ参加者とその関係者が多いようだった。