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《2010.7月−7》

人の身体はよくできている、と実感
【日野晃 福岡ワークショップ (コデックス)】

講師:日野晃
16日(金) 15:00〜17:30など 三ノ上バレエスタジオ 12000円


 「ウィリアム・フォーサイス、武道家・日野晃に出会う」という本を知ってから、いちど日野晃のワークショップを受けたいと思ってきた。
 その日野晃のワークショップが、福岡である。一も二もなく参加を申し込んだ。

 今回のワークショップは4日間で、「身体塾」が2.5時間×4コマ、「表現塾」「即興塾」がそれぞれ2.5時間×3コマ。
 今回わたしは「身体塾」4コマだけを受けたが、多くの人が「表現塾」「即興塾」も受けていた。参加者は30数人で、ダンス1/3、武道1/3、一般1/3というような感じだった。
 参加した「身体塾」の4コマは、16日(金)が15:00-17:30、17日(土)-19日(祝)がそれぞれ11:00-13:30。

 どの日に何をしたということはない。「ねじれ」についてごく基本的なところを繰り返し繰り返しやった。
 10時間で何が身についたか。ほとんど何も身につかないが、人間の身体が本来持つ高い能力については、それが確実にあると感じることができた。それがいちばんの収穫だ。

 日野先生の武道でいちばん特徴的なのは「対立しないこと」。
 後ろからしがみつかれても羽交い絞めにされても、力では決して逆らわず、相手に身を預けることで相手の力の入っていない方向へスルリと抜ける。あるいは軽々と解いていく。
 実際にやってみるとそれほど簡単ではないが、それでも、それはありうることを実感することができる。

 相手を受け入れ相手を感じることで、対立する相手との関係を変質させて、相手をほんとに意のままに操ることができるようになるだろうことは、確信できる。
 このやり方なら、1人で屈強な武道家を10人も相手にバッタバッタと倒していくというシーンが、リアリティをもって理解できる。
 武道もダンスも要は相手との関係の作り方がいちばん重要だから、当然表現にも応用できるのだ。

 日野先生は小柄なごく普通の老人(といってもわたしより年下)で、とても武道家には見えない。
 しかし、その武道家としてのすごさの一部が「ウィリアム・フォーサイス、武道家・日野晃に出会う」には書いてある。

 尊敬するダンサーの北村成美さんが参加されていた。いろいろ話せてうれしかった。


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