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《2010.9月−4》

観客に見せる気があるのか
【雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた (楽劇ネット〜風来〜プロデュース)】

作:清水邦夫 演出:真野風来
5日(日) 14:05〜16:55 春日市ふれあい文化センター スプリングホール 999円


 演出がダメだと舞台はどこまでもつまらなくなる、という見本のような舞台。
 ほんとに、やることなすこと全部逆効果という演出で、みごとにポシャった。出演者のための舞台のようだからそれでもいいが、この劇団は当分観ない。

 深夜の百貨店。戦時中ここにあった石楠花少女歌劇団のヒロイン風吹景子と、その熱烈なファンであるバラ戦士の会の五人のロミオたちが踊っている。
 それは、空襲で記憶をなくした景子の記憶が30年ぶりに蘇り、再び歌劇団を結成するための稽古だった。

 テンポがものすごくとろい。
 セリフはコンテクストを無視したしゃべり。セリフとセリフの間に長すぎる一呼吸を置く。そこは、たたみかけるんだよ!
 回り舞台を使いながら、転換は遅くて、流れを断つ。俳優の動きも悪い。30人のジュリエットは舞台を走り回れ!
 どうでもいいところにレビューを入れて、これも流れを阻害する。音楽も甘ったるい曲ばかりで、的外れな選曲。そんなふうだから、話は進むが、状況の変化の表現も鈍い。

 客席の時間と空間の密度は、舞台のそれとは違う。舞台の密度が観客に届くような工夫は最低限必要だ。

 この舞台は、きのうときょうで3ステージ。かなり空席があった。


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