ラストのつじつま合わせのためだけに、ものすごくたいくつな2時間をガマンさせられるという舞台。
軽度の知的障害を持つ真人。中学の特殊学級の女友だち・咲楽と結婚したが、ほどなく咲楽は死ぬ。彼女との約束を果たすために、その25年後、48歳になった真人は車で伊勢神宮に向かう。
その車に麗子という若い女性を同乗させることになる。
構成は弱くてムリがあり、水増しした話をつまらんセリフで長々と引っぱり、平板でトロい。
麗子が咲楽の生れ変わりだということがラストでわかるが、なんとなく匂わせてはいても、それが舞台の推進力にはなっていない。
真人とふたりの女の話は、つまらないエピソードと陳腐で間延びしたセリフばかりで、どうでもいい話を水増しして、長々と引っぱる。咲楽との中学時代の話など、どうでもいい話なのに繰り返しが多くててウンザリするし、麗子の古代中世日本史の話も本筋と結びつかず、時間稼ぎにしか見えない。
この内容だと1時間の上演時間でも十分すぎるくらいだ。
父母の離婚、ヤクザ、生れ変わり、幽霊と、派手な展開のために取り揃えてはみても、内面が空疎ではおもしろくなりようがない。
妻をストリッパーから足を洗わせるために鉄砲玉を引き受けるが、真人が怖気づいたために弟分が代わって狙撃し、ターゲットを殺せずに一般人2人を殺してしまう。
そしたら、刑が軽くてすむ自分がやったことにしようと真人が弟分に申し出る。そんな緊急なときに、真人は弟分のダンスを所望する。ナンセンス。
しかし真人は逃げて刑には服さずに、25年間も逃亡生活を続けた。
おいおい、逃げおおせるか?車はどうした?住民票もないのに、運転免許は?―何も考えずに適当に書いていることがアリアリだ。そこをうやむやにして、派手な照明と音響でごまかそうという姿勢がひどい。
最後に真人は、西宮署(殺人現場はどこだったよ?)に電話して「25年前の強盗殺人(いつ強盗したのよ?)」の自首をする。弟分はどうしたのよ。おまけに、とっくに時効になってるんじゃないの?
ほんとに、まじめに観る気になれというというほうがムリな粗雑さだ。
藤山寛美のアホの物まねが50%超という、今井雅之の真人の演技にも違和感があった。
そんなふうで、「『THE WINDS OF GOD』を髣髴とさせる」という宣伝文句に惹かれて、迷った末に行ったけれど、ハズレだった。
観客は、観る前から実によく舞台の質を見極めていて、きびしい。空席が多い客席を見て、普通の観客のおもしろさへの嗅覚の鋭さを再認識した。わたしは失敗してしまったが。
つまらなそうだなと思ったら、行かないこと。それを徹底しよう。
この舞台は福岡では、きのうときょうで2ステージ。かなり空席があった。