歌之助師匠2時間半の熱演。漫談調落語、古典落語とも、たっぷりと楽しんだ。
中入り前の漫談調落語と中入り語の古典落語では、歌之助師匠、顔つきまで変わってしまう。
○題のない漫談調落語 約20分
ことしの正月の寄席中継でも披露していた漫談調落語というよりも、ほとんど漫談。
話題はドンドン跳んでいくが、しゃべる1センテンスごとに笑いを取る。突っ込みすぎたり受けなかったりすると、センスで額をポンと叩く。
ここから「母ちゃんの行火」までは、歌之助師匠はやや前かがみになり、しゃべりも、客に媚びるような、気弱で若干卑屈な喜劇人風を装う。
○幕末龍馬伝 約40分
本筋から離れまくりの落語で、時事ネタや身辺の話をおもしろおかしく話すのは、林家三平の「源平盛衰記」のパターン。
自虐ネタがかなり混じるが、それは、むかし聴いた師匠の講演会と同じように、下から突き上げてモチベーションを上げさせるような話に結びつく。
○母ちゃんの行火 約20分
感動させ泣かせる身の上話、家族の話。離れて暮らしていた母との話が泣かせる。子どもとのクリスマスの話もなかなか聴かせる。
このあと、中入りが15分。
○動物園 約25分
朝が弱く力仕事ができず口下手な男が、楽な仕事と1日1万円の日当につられて移動動物園で働くことに。仕事は死んだ虎の皮を着て虎になること。
中入り後は師匠の顔つきがガラリと変わって凛々しい顔に。脱線はなくきちんと演じる。
ここに出てくる園長の名には自分の本名を入れる人が多いというが、「前田」という名前になっていた。歌之助師匠の本名は「野間」。亡くなった桂枝雀師匠が自分の本名「前田」を使っていたという。
○子別れ 約30分
酒におぼれ妻子に逃げられ島原の遊女と同棲していた大工の熊五郎は、その遊女にも逃げられ、酒もやめてまじめに働くやもめ暮らし。そんなとき、とある街角で息子の亀吉に出会う。
前の女房とよりを戻すまでをていねいに演じる。お涙頂戴の落語で、泣けてくる。
弟子を出して時間稼ぎなどせずに、ひとりで2時間半たっぷりと聴かせる。それがいちばんのサービスだ。
この独演会は、18日から24日まで開催の「三遊亭歌之助独演会」福岡県下7日間連続公演の3日目。会場が広いこともあり、かなり空席があった。