おもしろいんだけど、観終わってどこかはぐらかされたような感じになるのは、どうやらトリックがちんけ過ぎるためのようだ。
38歳になっての、小学校6年のときの学級同窓会。
小学校を見に来て懇親会までの間。小学校脇の建物にあるむかしのみんなの溜まり場に5人が残っていて、何やら変な動き。どうやらそのうちの誰かを驚かそうとしているらしい。
小学生のときの思い出というのは、いくつになってもなつかしい。
それをネタにして、小さなエピソードや小技をうまくはめ込んでていねいに作られている。キャストも魅力的で、大阪だなというテイストもあり、ほのぼのとしていてそれなりには楽しめる。
ただ、楽しまそうとして詰めが甘くなったのか、全体の印象が大味になって、若干しらけるところがあったのが気になった。
舞台がなかり進んでも、状況がなかなかつかめない。
小さなエピソードや小技で笑わせることはあっても、舞台半ばまで大きな状況がつかめずに“???”が頭の中に広がる。そう、前半は開きっぱなしの舞台で、それでも伏線を逃すわけにもいかず、かなりイライラ。
後半は謎解き。前半の“???”を刈り取っていくが、開示されるのは新しい事実で、前半に伏線かと思ったものは、隅に追いやられてしまう。
何のことはない、やっていたことすべてが小学生時代のイジメの仕返しのため。全部が仕掛けられたもので、知らなかったのは仕返しされる当人だけ。要はビックリカメラだ。しかもそのイジメのいちばんの根拠が、サイン帳に書くべき“祝”という字を、“呪”と書きまちがえたため―というのは、かなりムリがあるでしょ。だけどそれがこの舞台の肝なんだよね。
そんなふうでほんと、かなり手前勝手な脚本で、筋が通らない強引さでムリヤリもっていく。どこかはぐらかされたような感じになるのはそのためだ。
この舞台は「福岡演劇フェスティバル」参加作品で、福岡ではきのうときょうの2ステージで。きょうの舞台は全23ステージの大千秋楽。少し空席があった。