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《2012.5月−9》

大作ダンス2本、見応えたっぷり
【お座敷A(仮)/Reality (プロジェクト大山/Ambiguous Dance Company(韓国))】

振付:古家優里/キム ボラム
18日(金) 19:40〜21:15 大博多ホール 共通チケット15,000円


 コンテンポラリーダンス、40分ほどの日・韓の作品が2本という見応えのある公演だった。
 2本ともに、振付も含めた全体の構成・演出が斬新で、ダンサーも鍛え抜かれていて、コンテンポラリーダンスの楽しさに溢れていた。

●プロジェクト大山 「お座敷A(仮)」 構成・演出・振付:古家優里 上演時間35分

 10人のダンサーのフォーメーションで見せる、非常に切れのいいダンスだ。
 むかしの水着のようなダンサーの衣装の色を、10分〜15分くらいの場面ごとに黒→白→青と変えていき、それらの場面を繋いでいく。その繋ぎ目にゆっくりした日本的なていねいなお辞儀などのあいさつの動きが入る。
 振付は、1人から全員までの組み合わせを、速いテンポの音楽に合わせて自在に変えるかと思えば、ゆったりとしたバイオリン曲でさりげない動きなど、メリハリたっぷりだ。まったく無音になるシーンもあるが、集団のダンスは乱れない。
 ダンサーはみごとな動きだ。ユーモラスな形からもっていく大きな動きも小さな動きも、ギリギリまでの動きがかなりユーモラス。そんな調子で日本的な虚礼を揶揄しているところがまたおもしろかった。

●Ambiguous Dance Company(韓国)「Reality」 振付:キム ボラム 上演時間43分

 スタイリッシュにエネルギッシュに、限界ギリギリまで力まかせにやってしまおうというパワー溢れるダンスだ。
 舞台にはイスが4つ。ゴルゴ13のような黒いスーツにサングラスの4人のダンサー(うち2人は女性)が客席から登場。スーツの背中には言葉が刺繍されている。
 やや緩やかに始まるが、すぐに全身を大きく速く動かす激しいダンスに。10分ほどでスモークの中でのダンスに変わる。格闘技の動きがあったりと振付は多彩だ。それが約10分。
 ラストの約20分が「ボレロ」。ゆっくりとしたところから、4人のダンサーは組み合わせを変えながら、次第に高まっていく音楽にあわせて徐々に力強い激しい動きになっていく。
 それまでのモノトーンからカラフルな光に変わって、比較的静かにフィナーレ。エンターテイメント性が高い、興奮させられるダンスだ。

 コミュニティダンスに影響されてか、コンテンポラリーダンスには激しい訓練は要らないと考えているダンサーが多いのではないかという気がするが、この舞台を観ていると、鍛え上げられた身体性と心性こそが、人の心に感動を与える源だということがよくわかる。

 この舞台を観ていて改めて思ったが、大博多ホールはダンス公演には向かないような気がする。
 この公演は「Co.D.Ex.セレクション ダンス・アジア in Fukuoka」と銘打たれている。Co.D.Ex.の眼力に感謝。公演はきょうとあすで2ステージ。少し空席があった。


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