2時間以上たっぷりとブラック師匠の落語を楽しんだ。「一発のオ○ンコ」はやっぱ何回聴いてもおもしろい。
「万金丹」
まくらが、天皇誕生日から入って1944年の映画「あの旗を撃て」の話で大河内傳次郎の演説が秀逸。そのあと昭和天皇が危篤になったときの話からようやっと仏教の話になって本題に入るが、そこまでほぼ30分。
江戸を食い詰めた梅吉と初五郎の二人連れ。餓死寸前のところを古寺に転がり込んで、和尚が本山に出張のあいだ寺の留守番。大金持ちの金兵衛が死んで寺に葬式を頼みに来た。導師は隣の寺の和尚に頼めという言いつけを破って香典目当てに金兵衛宅に乗り込んだ2人は、お経は何とかごまかしたが戒名を付けるのに困り果てて風邪薬「万金丹」の効能書きの文字を戒名にする。
まくらが長くて本編はまくらより短い。調子もまったく変わって本編は端正な古典落語そのもののしゃべりでじっくりと聴かせる。口演時間はまくらも入れて約55分。
「けんげしゃ茶屋」
大みそか、いたずらが過ぎて新町の茶屋に行きづらい大店の主人は、ミナミに国鶴という芸妓を囲って持たせてある店に行って遊ぶ。主人は幇間と図って元日の昼に国鶴の店に10人ほどの葬礼の行列を差し向けるいたずらを仕掛ける。
花街の「お茶屋」を舞台にした「茶屋噺」で、「けんげしゃ」とは縁起かつぎをする人を意味する古い大阪弁らしい。極度の「けんげしゃ」である国鶴らをからかおうという趣向で、国鶴とその父母に対する主人・幇間とのやりとりが見せ場だ。
桂三枝(現:文枝)師匠の弟子だったこともあるブラック師匠だが、ネイティブの大阪弁とはいかない。その若干のたどたどしさもまぁいいか。口演時間約30分。このあと中入り約15分。
「一発のオ○ンコ」
1988年のベストセラー「一杯のかけそば」を元に作った人情話で、強烈なパロディー。になっている。札幌・ススキノのソープランド「北海亭」で大晦日の日に、一人の風俗嬢と親子3人がやるという話だ。このご当地落語を、ブラック師匠は23日にススキノで口演したという。
定番だから安心して聴ける。口演時間約40分。
これまで福岡での「快楽亭ブラック毒演会」はわたしの主催だったが、今回初めて「ブラックカンパニー」が主催された。
この落語会は福岡では1ステージ。少し空席があった。